「場末の映画館には猫さえ来ない」 =場末の映画館支配人が語る30年雑記=
“場末の映画館。”
ただ、そこはかとなく漂う世界観がある。 1973年. 時代は経済高度成長期の最中。 映画は、衰退の一途をたどっていた。 私は、駅前ながら場末の映画館に向かっていた。 目的は映画ではなく、
映画館もひっそり、存在感もなく、わびしく佇んでいた。 その映画館に過去、 何故か導かれるように・・・。
デスクに座っていた。 私は、おずおずと、「あの~・・バイトをしたいんですが。」と そのおっさんは、間髪入れず、 「お願いします。」 不思議な光景だった。
さかのぼること、5年前。 父が教師という、世間体的には生真面目な振る舞いで、
映画配給会社の衰退で、大映と日活と苦肉の策で共同配給し、 大映は、そこで、北海道出身で田舎育ちの15歳の少女、 ぞっこん!もう、”ZOKON LOVE”です!(オマエは、シブガキ隊か!古い!)
けなげに抱かれる恵子、絶対タイプ。 この愛するが故の熱量が、この映画のテーマ曲レコードを買うし、 買う快挙、暴挙。聞いたら、天地がひっくり返るほどのド下手~! そんぼ思いは、大胆な行動に出てしまう。今じゃ、そんな事、出来ないが、 関根恵子のポスターを欲しいと哀願すると・・・
その当時、ノリピーはいない(これも古い!)、すみません。 とにかく、映画会社の大映も太っ腹。何の見返りもないのに。 ただ、私の熱意が通じたのか! この関根恵子のポスターの件もあり、なおさら恵子に溺れていく私・・・。 新作をことごとく、「新・高校生ブルース」、「樹氷エレジー」、「遊び」等と、
ここまで書いて、映画を好きになったのではなく、 ただ関根恵子をアイドルとして、 映画を見る、ただそれだけのことだったことかもしれない。
梶芽衣子と和田アキ子主演の無国籍アクション「野良猫ロック」と 永井豪の漫画の映画化「ハレンチ学園」の2本立まで見てしまうハメに・・・。 こうなると、勢いはとどまらず、手当たり次第に映画を見ていくことになる。
自分のオナニーで精一杯なのに、
トレシー・ハイドの初々しい笑顔(特大ポスターを買った)、 ビージーズの爽やかなメロディが今も心に残る、「小さな恋のメロディ」を。 ただし、“愛とは決して後悔しないこと”のコピーが話題で、大ヒットの
上記の作品含め、高校生時代は、
いや、火が付いたのではなく、学校に行くのが嫌で、映画で時間つぶし。 「ポセイドンアドベンチャー」のパニック映画に始まり、 燃え盛るパニック映画の「タワーリングインフェルノ」、 クリント・イーストウッドの「ダーティハリー」のマグナムの銃口にうっとり、
すぐさに、名古屋球場で、引退を決めた長島のホームランを 目の当たりにした、あの思い出は懐かしい。 (余談:大好きな長島選手のホームランボールが近くまで飛んできた。)
「フレンチコネクション」や、「ブリット」などの刑事ものカーアクション、
ある映画館で、仕方なしの暇つぶしの映画「ドラゴン目撃者を消せ!」を見た。 これは当時、ブルーリ・リーの革新的アクション、「燃えよドラゴン」で 一大ブーム!ドラドンブームの真っ只中、何でもドラゴンがわんさか。 ジーミー・ウォングの「片腕ドラゴン」、「女ドラゴン」等、 その勢いはとどまらず、ハリウッドまで、黒人のカンフーものがコレ。 これが、まあ、つまらん、つまらん。
それがそれが、何を言わんや・・・。 それも実話の映画化とは。おったまびっくり!
ラストの”セルピコ”こと、アル・パチーノの悲しげで退廃なイメージ。 監督は、世界の巨匠、シドニー・ルメット。 映画の世界に、こんな強烈なメッセージとパッションが魂をつらぬく! 唸る!す、凄い!!! このようなメッセージ色が強い映画があったのだ。
これを境に、映画の見方が変わった。
こうなると、あのキューブリックの「バリーリンドン」にも目が行くし、 ニクソンの盗聴問題をすっぱ抜いた新聞記者の「大統領の陰謀」、 アル・パチーノの「狼たちの午後」等々・・・。 イタリア映画、フェリーリの「道」だって見る、 しかし、若さもあって、娯楽作品に、真っ先に目が行くにはしょうがない。 その頃、スティーブン・スピルバーグのテレビ映画「激突!」が、 これが映画マニアに受けた。 ストーリーは、些細な事から、巨大タンクローリーが一台の車を
それは、全米タイトルだが、
このように多種多様な映画を見出したのはいいが、 映画代もバカにはならない。 「そうだ、京都へ行こう」ではなく、 「そうだ、映画館でバイトしよう!」で お金と映画の一石二鳥を狙う。 そこで、バイト先に目をつけたのは、 上記の「セルピコ」を上映していた映画館。 それが、タイトルにある通り、場末の映画館。 うらぶれた感がある、人通りのない道沿いの映画館だった。 いきなり事務所に訪ねると、前記にも記したが、 ひとりの50歳位のおっさんがひとり、 私が、「ここで、バイトしたいんですが・・・」を言うなり、 間髪いれず、「お願いします。」の即答に口あんぐり。 ちょうど、前の事務員が突然辞めて困っていたところに
これも、縁か。 「すぐに出来ますか?」と、これまた、早い。 履歴書は持っていなかったので、しばし面談。 ちょっと順序は違うが、聞けば同郷。深入りすれば、 そのおっさんの妻と、僕の母が出身高校の同級生とわかる。 奇遇。 僕の父の先生話も花が咲く。 聞けば、おっさん、いや常務。 この映画館。本社が名古屋で、今池に高僧自社ビルを所有し、 親族経営で、弟が社長で、そのおっさん、いや常務が、 地元の代々続く家の長男だが、 個人的に、他にも自ら工場経営しているので、この立場でいるらしい。
とにかく、すぐさに仕事を始めて欲しいし、毎日でもというが、 こちらは大学生の身。 結構ヒマなのだが、親を知ってるとあっては、 「いいです。」とは言えない。 親に、どう耳に入るかわからない。
「さっそく、今日からやって下さい。」のお願い。 早速、 私の実家は兼業農家でもあるから、幼少から田畑を手伝ってきたので、
結構、疲れるが、なんか、心地いい。 で、それを、およそ1時間で終えて、
「え~っ!広告ですか?経験ないですよ。」
過去、バイトで、広告に携わることはなかったが、 見よう見まねで最初の初広告製作は、
とても、小さな広告が手始めだった。 なんとか作り終え、今日の仕事は終えたので、
そのおっさん、雇われたのですから、訂正、”常務”は、 おずおずと、一枚のはがきサイズの紙を私に差し出してきた。
「ある愛の詩」で有名になったライラン。オニールの愛娘、 ティタム・オニールと名優ウォルター・マッソーの
この試写状が、 業界人用の試写会・・・。 とりあえず、行くことにする。当然、授業をさぼってのこと。(親が泣く?) 腹ごしらえの昼食のトンカツ定食をペロリ平らげて、いざ、行かん!
場所は当時、名古屋の毎日ビルの4階に松竹名古屋支社。 おそるおそろ入る。 大学生の立場上、周りの業界人らしい人たちに、
そら、そうだ、 20人ほどがいる。 みな、この映画を上映予定の地方の支配人か、経営者か、 映画に携わる関係者、マスコミなどと、後にわかる。 見始めたが、何故か居心地が悪い。 大人の禁断の世界に迷い込んだか・・・
それは、さておき、 そして、この席にいると、まるで、業界人気分になる。 映画を見終わり、 新聞宣伝担当や、もぎり(切符切り)等を含め雑用もこなした。 また、相も変わらず、試写室にあししげく授業をさぼり足を運んだ。 その試写室で、今でも忘れならない事がある。 ブライアン・デ・バルマの出世作でもある「キャリー」を 一瞬、下を見たときに起こった。 一体型の椅子がガクッと揺れると共に、私の椅子もガクッ!と、
そう、画面では、いきなり、ラストで不意打ちのように その衝撃に、驚き、皆の体が大揺れし、椅子が全体に揺れたのだ。
現在は、これが主流で、油断をした時のショックシーンパターンである。 あろうことか、このシーンを見逃したのだ。不覚にも。 いずれ、VHSビデオの時代が来て、見たのだが・・・ あ~あの時、何故、見逃した!悔やまれる。
もっと、映画館の仕事内容に移そう。 この劇場は、この地区では、後発で、 初期は、ほぼ、再映でお茶を濁したり、
当時、愛読書?の月刊明星のアイドル雑誌に、 それも、その看板は、洋画のピンク映画3本立、 それが、物語るかのように、 映画のラインナップだった。 だから、このバイトするまでに、この映画館に、過去、1回しか、
だから、バイトするのも、本当に摩訶不思議。 やはり、そこで初めて見た、「セルピコ」という映画の強烈な影響は、 今となっては、確信である。 私が映画好きとわかると、
これなんかどうですか?と言うと、
ほとんどが1スクリーン勝負。だから、戦国時代。 大抵、各映画館は、密接に映画会社にとつながり、 あそこの映画館はワーナーブラザース作品(燃えよドラゴン、エクソシストなど)がメインとか・・・、あそこはCIC配給:当時、ユニバーサル、パラマウント、MGMの三社合同会社(トップガン、フラッシュダンスなど)、20世紀FOX映画(スターウォーズ、猿の惑星など)、ユナイト映画(ロッキー、007シリーズなど)、コロンビア映画:現ソニー(タクシードライバーなど)とか・・・
だから、大半の作品には、なかなか手が出せないのが実情らしい。
あのスティーブン・スピルバーグ監督のアメリカで異常なまでの この映画には、 しかし、ハイリスクな問題があった。
当時、時給が400円ほどだったから、 今に換算すると4000万円ほどか・・・。
プリント代が2000万円、高値というより破格。 だからこそ、打って出たのだ。 まだ映画を見ていないのに、この映画館、会社の肝も坐っている。
三重県では1館のみの上映となった。 私は、公開三ヶ月前に、 これが、唸る。
あのジョン・ウィリアムスの♪ジャンジャンジャン・・・♪の音楽だけで、 迫りくる恐怖をあおる。怖い!上手い!
最後は、ドカ~ン!と解放的にエンディング! まさに映画の王道だ。 映画はいい。 だが、アメリカで大ヒットしたからといって、何の保証もないのが興行。
蓋をあければ、 度肝を抜く動員。
まだ、入りきれない人が、次の回に切符売り場に長蛇の列。 その上、1日5回上映フル満員。 動員は1日、2500人。 それも、あきらめて帰る人、続出とくるから、恐ろしい。
異常なまでもの現象に立ち会う。 ロビーも人、人、ぎゅぎゅうづめで、身動きできないほど。 だから、仕事にならない。売店も人が多すぎて売れない。 ただ、飲み物の自販機は補充の連続、冷えてない!と、苦情が来る。 ”すみません!すみせん!”の平謝り。
いやはや、大変!またまた大変なのが、 一回終了ごと人の入れ替えが、地獄の様相。 経営者は、満面の笑み、いや、満願の笑み、 そら、そうでしょう。
と、なると、不安になるのは、このフィルムの管理。 な、な、な、と、このフィルム、1日興行終わるたびに、 夜に警備会社が保管に来るという前代未聞の策。 そら、これを盗まれたら、大変ということ。 その不安も、この入りではうなづける。
私はバイトの身、その頃は、新たな人が(おじさんだが)入社し、 私の仕事は、新聞広告と、 映画試写を見る事、後は、作品のチョイスのアドバイス。
私は、ほとんど、大学にも行かず、バイト生活に明け暮れる。 映画館でなく、見識を広めるため
バイトの逸話も多い。
そして、今度は、百貨店の家具売り場に行きなさいの命が下る。 だが、さも、ベテラン風に売り込んでいく。 これが、認められ、私の友人と共に、
何が何がわからんが、百貨店の本山の事務所仕事。 難なく片付け、持て余し気味に、友人の仕事ぶり、横目で見ていたら、 上司から、外へ、呼び出された。 ひとこと、上司。 「君、サラリーマンに向いてないネ。」 この言葉が、今も耳朶に響いて離れない。
その時は、若さか、何の意味かわからなかったが・・・ 時を経て、わかりましたわかりました。正解です。 そうですか、要は僕たちは、百貨店に試されていたのですね。 そして、僕だけが、サラーリマンとしてのダメ出しの烙印を押されたのです。 その事実は、ただひとりの私に対するメッセージが、 ただひとつのアドバイスが、私の心に突き刺ささり、
それが、映画館に結果、 のちのち・・・ 就職するという思いもよらないことになるが・・・。
とにかく、バイトは続いた。
「エアポート75」と「かもめのジョナサン」の2本立も想い出深い。 名古屋では、それぞれの公開だったが、
娯楽作品では、カーアクション映画の「バニシングIN60」も鮮烈だった。 「ブリット」、「フレンチコネクション」でカーアクションが注目され、 この作品は、カースタントで名を馳せた本人、HB・ハリッキーが監督、脚本、 客も内容に大満足で、この映画のリアル感は、現在も語り草だ。 当時、2本立てが当たり前で、併映の「スネーク」という、 蛇が少女の口から出てくるキワモノもご愛嬌でした。
アガサ・クリスティの「オリエント急行殺人事件」も、作品の良さに、
わいせつ映画?(本当に性交渉してた)と世間を賑わしました。 この効果で、興行は大成功でしたが・・・。
また、カーアクション映画で、「ダーティメリー・クレジーラリー」という 両作品とも、「イージーライダー」のピーター・フォンダが主演。 マーティン・スコセッシ監督の世界観、主演のロバート・デ・ニーロ、
少女役で娼婦役のジョディ・フォスターの渾身の演技。
夜のニューヨーク。白い蒸気が舞いあがる中を、
黄色いタクシー、イエローキャブが
ゆっくりと走る。バックに流れるサックスの響き・・・。
もう、たまらない。 つい、映画に影響されたか、 当時、モデルガンのマグナムを買ってしまったほど・・・
パニック映画ブームの中、「大地震」というのもありました。 これは、音響の”センサラウンド”がウリで、地震場面では、 上映前に深夜の音のテスト上映で、かなりハイにしたため、 しかし、話題性の割には興行自体はふるいませんでした。 毎日、地震シーンのたびに劇場が振動するのがやっかいではありましたが・・・。 このセンサラウンド映画は、後にも、
まあ、なんやかんやで、新聞広告を中心の映画館でのアルバイトは楽しく、 名鉄、酒屋、映画館の掛け持ちでの生活は続いた。 大学の授業は、ほぼ出ずに・・・。 そして、人生の転機が突然、訪れる。 そう、転機というのは、いきなりが面白い。 それは、自分の計画よりも予想だにしない方が、 私にとって、良かったみたい・・・
それは、私のバイトの後、途中から、専任の人を雇った人が病魔に倒れ、 映画館がてんやわんやする中、 その映画館のおっさん、いや、支配人から「うちの映画館に来てくれないか。 それも社員として。」の依頼。 僕は躊躇する。 映画館に就職なんて、失礼ながら都落ちみたいな思いの複雑な心境。 悩んだ末、3月後、親の強い反対もなかったが、空気は、望んではいなかった・・・ まあ、3年間ぐらい、やるか・・・・。の 簡単な決心で始まった。
それが、33年間も続くとは、その時、思いもよらなかった・・・。
<第2章・正社員の勤務が始まる> 映画館の正社員として職に就く。 バイト気分はもう、なかった。 仕事の手順はバイトで手慣れていたので、 たんたんと進む・・・。 それも、ほとんどが一任。 まあ。まかせてくれる感がいい。 ただし、そこは新人。 映画のチョイス件はなかったし・・・、 それと、映画会社にも新人扱いだから、なおさら。 まあ、実績こそが、名刺代わり。 とにかく、興行という世界の仕組みを 現状を捉えながら、見据えていかなければならない。 あせりは禁物だが、即戦力を期待されてはいるのだから気合を入れる。 なんだかんだといっても、興行成績、実績こそが裏付けとなるのだ。 これぞ、興行界は数字のみが、力量である。 手始めの作品は、「新・バニシングIN60」と「原子力潜水艦浮上せず」の 「新バニシング・・・」は、強引にタイトルをつけただけで、 あのHBハリッキー作品でもないので、詐欺ですネ。 当然です。お客様も見向きもしない。 出鼻をくじかれる。 次作は、「タクシードライバー」の雰囲気をかもしだす、 これが、予想に反して、意外や意外や小ヒット。 今でもマニアには語り草の1作でもある。 そして、「真夜中の向こう側」と「マイ・ソング」の2本立。 これが、さっぱり。1日、10人程度の入り。 「マイ・ソング」の主題歌は良かったが、興行には反映されない。 その後の男女の恋愛映画「流されて」も、押して知るべし。
ここで、気分を変えて、 名作2本立を試みる。 「ベンハー」と「ローマの休日」。 半信半疑なれど、 意外にも、コンスタントな数字をたたき出す。 やはり、名作は、なおも力強い。それが名作たる由縁である。 過去に見て、再度か、年配者の客の後押しが強かった。 ただ堅実な数字だが、それまでの不入りを補えない。 今や、バイト気分ではないので、 気分は完全にブルー。 だが、だが、入社3ケ月目にして、 この興行界に本格的に足を踏み入れての 夏に、 早々と、ビックな作品に巡りあう。
あの「サタデーナイトフィーバー」で、あります。
ジョン・トラボルタの腰クネクネのディスコダンス、 全世界でも熱狂的に大ヒットしている。 これは、日本でも受け入れるはず。 こちらも、独自で宣伝に力を入れる。 他の映画館では過去、してなかった仕掛けを試みる。 この作品で僕のとった宣伝方法は、 前売り券を5枚買ったらプレゼントに オリジナルのサダディナイトフィバーTシャツを勝手に製作した。 (今では問題ありの行動だが、販売用ではなく、販促用) タイトルのロゴをあしらったシンプルなTシャツだが、 このTシャツが、なかなかの好評で、まとめ買いがあり、 前売り券も、マスコミの話題のあおりをあって、飛ぶように売れる。 期待は高まる。 さらに宣伝の手は休めず、 地元のディスコに協力を得て、出演者応募を募り、 ”デイスコ・ダンス・コンテスト”を開催をする。 その模様は、三重県の地方局、三重テレビにかけあって、 音楽番組で取り上げてもらったりしたが、地方局の視聴率では、 話題にもならず、失敗したが、 だが、そこで、その後の人生の転機というか、 数年後、テレビ番組を作る、きっかけを作ることになった、人に出会う。 その人は、ディレクター兼カメラマン(当時三重テレビは予算上、皆そう)との のちのち、その出会いが、 それは、後ほどで、
「サタディーナイトフィーバー」は、 夏休みと重なり、連日、大入り! 若い層が大半だが、この層を、ひとたび話題になれば広がるのは早い。 ディスコブームも相成り、マスコミもさらに話題はヒート。 テレビでパロディもさかんに流れる。 当然、大成功の興行を収めた。早々と、自信をつける1作となった。
いけいけどんどんとはいかない。 そうは問屋が卸さないのが、業界の常。 その後、ブルック・シールズのデビュー作「プリティ・ベビー」。 12歳の少女が娼婦というショッキングな内容。アメリカでは話題になったが、 日本ではサッパリ。 映画マニアには涎モノの名作、「ミッドナイトエクスプレス」もある。 無残な興行だったが、やりがいのある骨のある作品であった。 このような映画を上映したのは誇りでもある。 やがて、1979年、正月映画。 お待たせしました。 大ヒットの「サタディーナイトフィバー」の熱気の再来を願って、 ジョン・トラボルタ主演です。 この映画の買い付け額は、800万円だ。 大半の映画は、興行成績の6割が基本だが、 まさに高額な要求。 内容がミュージカルタッチを不安視。 日本では、なかなか、ミュージカルはヒットしにくい。 「サタディナイトフィバー」は、歩合だったのだが、 まあ、飲むしかない。 これが、映画会社とのしがらみでもある。 鳴り入りもので、フタをあければ、 予想に反して、いや、案の定。 売り上げは、1千万円。 悪くもない成績だが、プリント代が800万。 気休めの経費だけで、げんなりする。
興行とは、ほんまにバクチです。 ここは、仕切り直しの作品がめぐり合う。 「天国から来たチャンピオン」と「ファールプレイ」 「天国からは・・・」は、一世を風靡したウーオレン・ビューティの バニー・マニロウの主題歌も絶品。言うことなし。 素敵な2本立だった。 今までも、この主題歌を聞くと、心地いいです。 この2本立は、映画館冥利に尽きる組み合わせであった。 興行的には、凄い利益を上げたわけではないが、 映画界に入って、”映画っていいな~”と、 しみじみ感じた作品でもあった。 息つく暇もなく、春休みは 「大地震」でも使用された特殊音響装置センサラウンドで贈る 「宇宙空母ギャラクティカ」のスペースファンタジー。 これが、中味のない内容だから然り、興行がふるわない。 「スターウォーズ」でもない、ただの宇宙凡戦。 その後は、コロンビア映画の名作「ナバロンの要塞」の続編、
「コルベットサマー」も案の定の不入りが続く、 とても気がめいる日々が続く。 興行とは、入ってナンボ。 コケだすと、映画作品の上映が、短期間、短期間で、収益は上がらず、 経費だけがかさばるという悪循環。負のスパイラルにはまってしまう。
だから、映画興行は水商売に似てると思いつつ、相当、きつい。 当映画館の映画編成のパターンは、基本的には映画会社から、 めぼしをつけた映画を狙い定め、交渉と相成るのですが、 各映画館は、不思議と、配給会社に色づけされたいきました。 当映画館も「ジョーズ」で一山や、いや、1回、金鉱脈を当てた口ですから、 この映画の配給会社の当時(CIC配給会社)に、しがらみも出来、 CIC配給全作品を上映の流れに このCICには前記の「サタディナイトフィーバー」、「宇宙空母ギャラクティカ」、「天国から来たチャンピオン」等ありますが、他の配給会社にも頼らずには入られません。「タクシードライバー」などの有名なコロンビア映画(現ソニー)との関係も これなど、コケると予想の結果がわかっていて、今後のお付き合いを深める為、 上映してるわけです。
「サタディナイトフィバー」以後、大当たりはなく、 興行の深さを思い知ることになる。 だが、 そこで、起死回生の作品が現れた。 それは、「チャンプ」である。 この作品も、「サタディーナイトフィバー」同様、CIC配給。 過去の「ジョーズ」、「エアパート75」もそうであった。 何か、縁がある配給会社のひとつでもあった。 「チャンプ」、お涙頂戴、これぞ泣ける!1本1 お話は、ふがいない父親が子供のために再起したボクシング。 最後は死という代償のラストの子役の演技に、 “この映画で泣かなければ、人間じゃない!”そう、言わしめるほどに 口コミは凄まじく、何週経過しても、興行力は落ち事はなかった。 追い込みの宣伝方法は、新聞広告で、 一般人の感想を募って、ずらっと明記した。 これが功を奏したのか、なお、勢いづてくる。 今では当たり前の手法だが、 それほどの圧倒的な勢いで、興行は大成功に終わった。
またその後が続かない。
相手役がキャンディス・バーゲンとくる、何か所帯じみた地味な内容。 「グリース」でケチをつけたジョン・トラボルタには、 こちらも、こんな映画、
アメリカで大ヒット、この映画の影響で殺傷事件続発の社会問題化した これまたCIC配給の「ウォリアーズ」を上映する事になるが、 日本では、何も騒がれず、逆に反発を買うかのように、 「アニマルハウス」といい、「ウォリアーズ」といい、 だから、 映画の見極めは難しい。 お次は、 エキゾッチックな新たに製作したCIC配給「ドラキュラ」だ。 アメリカでは、大ヒットしたのだが、 到底、日本では、ドラキュラのキャラは受けないのは必然。 これも、見事なまでに大コケ。 つらい、つらい、本当につらい日々が続く。 今年は、大ヒットは「チャンプ」のみ。 この1本だけでは、映画経営は支えられない。 こうなると、悪循環は続く。 「愛のコリーダ」や、「カッコーの巣の上で」を再映したりと なんか、試行錯誤奈な無茶苦茶な編成して、頭はくらくらする。 やけを起こしたくなるが・・・ ここは、我慢、我慢。 こうして、興行の難しさを、身にしみて感じる。 冬を間近に寒さと共に、しみじみ感じる。 ここは正念場。 1980年、 正月映画を迎える。 CIC配給「エアポート80」に託す。 「大空港」、「エアポート75」のエアポートシリーズの新作だ。 今作は、フランスのコンコルドを題材なので、 主演には、あのフランス界の色男、アラン・ドロンと 「エマニエル夫人」で名をはせたシルビア・クリステルの布陣で挑んだが、 いかんせん、話がチープで、作品内容が悪い。 併映には、クリント・イーストウッドが「ダーティハリー」のコンビ、 ドン・シーゲル監督と組んだ「アルカトラズからの脱出」も、何の力を発揮せず、 この2本立は、またまた見事な不入りで、 正月気分は一切無しのコケぶりにまたもや落ち込む・・・ 春休みまでの繫ぎ作として、「十戒」の再映とする。 これが、意外にも、ぼちぼち入る。 名作、ここにありです。 この映画、宗教的でもありますから、ある団体が押し寄せてきて、 予想外な入りにビックリすれど、ひと安心。 でも、まだ悪循環は終わらない。 オードリー・ヘップバーンの新作「華麗なる相続人」は オードリーの人気は、すでにピークは終えており、予想通りの惨敗。 その後の「オーロラ殺人事件」たるや、誰がこれを見るんや!の 上映2週間の映画館は、幽霊屋敷。人の気配無し。 一日、6人など当たり前の日が続き、 定員席300の名が泣く。 恐ろしや、恐ろしや。興行は恐ろしや・・・。 まあ、そう怯えていては、商売は成り立たない。 さて、満を持して、 春休みには、 内容は、太平洋戦時下、日本の潜水艦がアメリカ本土近くに突如浮上し、 海辺の街はてんやわんやの大騒ぎ。 潜水艦の艦長役に三船敏郎が扮し、大真面目な演技が笑いを誘う。 フタを明けてみれば、 場内は、爆笑に包まれていましたが・・・ スピルバーグとしての冒険作は、「ジョーズ」や「未知との遭遇」のような いったん、安堵。 だが、あのスピルバーグだからといって、 興行の難しさを改めて、思い知ることになった一作でもあります。 <ここで、2年間の総括。> 今のところ、「サディナイトフィバー」と「チャンプ」の大ヒットによって、 なんとか経営は乗り切ってはきました。 もちろん赤字は出していませんが、 大きな儲けには至ってはいません。 手応えを感じるまもなく、幼子がやっとヨチヨチ歩きか伝い歩きでかしか すすめないようなもどかしさでもありと、ぼんやりと、興行の楽しさ、怖さに触れ、日々、精一杯に過ごしてきたが・・・ 私生活も、恋人の別れがあったり、 新たな人に告白されて、付き合いだしたりと・・・ 波乗りな浮遊感覚なまま、 興行のむづかしさに翻弄され、生きている有様でした。 仕事に取り組む真面目(自分と褒めるのはちょい気がひけますが。)の裏腹と、 今後の確固たる、人生の指針を示さないままに ただひたすら、謳歌するだけです。 ただ、不思議に、映画館仕事は、天職とまではいきませんが、 この仕事が向いていることだけは間違いないのない事実でした。 遂に、本腰を据えて、 映画の真髄に出会うことになりました。
あの「クレイマー、クレイマー」です。コロンビア映画です。 ダスティン・ホフマン、メリル・ストリープ競演、 子役が、また泣かせてくれる。 これが、これが、大ヒット! 場内を埋め尽くす人、人、 良心的な映画のヒットは、娯楽映画のヒットとは一味違い、 これぞ、またしても、映画館冥利に尽きる。 だから、映画館経営はたまらない。快感である。 「カ・イ・カ・ン」。 この勢いを買ってといきたいが、 その後、名のある、ロバートレッド・フォードとジェーン・フォンダの豪華競演の 「出逢い」は、旬が過ぎた組み合わせ。 予想通り、不入り。 「クレイマークレイマー」でいい流れを掴んでも、ひとつの作品で この流れは、ぶち壊し。
そんなジレンマを抱えながら、夏の公開作品を迎えました。
制作費は100億円と当時としては、破格の作品。 アメリカでは、「スターウォーズ」とはまた一味違う、 凄まじいヒット。内容は、ちょっとアートしているのが難だが、
この「リトル・ダーリング」が、東京で(東京は単独公開)、 この2本立の妙は薄いが、 結果、 「スタートレック」にはない、若者層を取り込んだのは言うまでもない。 1千万以上をあげる興行成績と、確実な数字をあげた。 大事な夏のシーズンのひと安堵である。 そして、 好調に波は、加速する。 「青い珊瑚礁」である。 ブルック・シールズ主演の南海のラブストリー。 期待はなかった。 だが、何が幸いするのかかわらないのが興行。 当時、ちょうどいいタイミングで発売した これが、大ヒット。 この曲と映画は全然、何の関係もないのだが、 タイトルかぶりで、この大波を頂戴なのか、 若い観客が、わんさか、わんさか、大入り。 これこそ、松田聖子の影響力、恐るべし。 これは、棚からボタもち。 調子いい。 さあ、 今度は、 アメリカで大ヒットした「アメリカンジゴロ」で乗るぞと、かすかな希望を託す。 主題歌のブロンディの「コールミー」も売れに売れ、 主演が、この映画、直後に主演したヒット映画「愛と青春の旅立ち」の 話題性もあるが、日本では、どうかなを危惧? 併映には、下り坂気味のジョン・トラボルタ主演の やはりか・・・フタを開ければ、 いや~・・・ ちょい入り。。 ブロンディの♪コールミー!・・・♪が むなしく場内に響くだけ・・・ 3連勝とは、そうは問屋が卸さない。 気を取り直して、 次作は、「オール・ザット・ジャズ」。 ジャズ・・・ ジャズ映画で、一儲けなんて、もう夢の夢。 予想通り・・・ これまた無残な入り。 秋風の共に、秋の興行は、むなしい。 その空っ風にのって、 1981年、正月興行を迎える。 「フェーム」である。 ポップな踊りをテーマとして、若者の躍動感を描く小品。 正月に場内はすきま風が吹くだけの当然の不入り。 正月気分は、何も感じられない。 ほとんど、客が入らないのだ。 酒でまぎらしたい気分だが、 ここまで、ひどい興行に、恐れをなす。 外は、派手な正月に、人はみな、心躍っているのだが、 この映画館は、ひっそり、取り残されたまま・・。 恐ろしい・・・。恐ろしい・・・。 ここまで無残な入りには、驚愕するばかり。 興行の恐ろしさをまざまざと・・・。 正月は書き入れ時なのに・・・ この有様。 意気消沈どころか、行く末が・・・ すぐさま、 1月半ばで、次の映画に変える。 でも、何も作品が残っていない。 結局、スピルバーグ監督ではないが、製作だけの「ユーズドカー」という まさに弱り目に祟り目。 なすすべなし。 その後に、「クルージング」という、 アル・パチーノ主演のゲイをテーマとした問題作を上映。 世の中のアネルギーを一身に これも無残な入り。 もう三ヶ月も、場内に、またもや無残のすきま風が舞うだけ・・・。 とにかく、なすすべなし。 春1番の季節。 春風にのって、 オリビア・ニュートンジョンの「ザナドウ」を上映。 ♪ザナドウ~・・・ウウウ・・・ザナドウ・・・♪ 主題歌にのせながら、 オリビアひとりでは、どうにもならないが、 春休み到来。 遂に、あのジョン・ベルーシの「ブルースブラザース」の登場。 これぞ、カーアクションとブラックコメディのお祭り映画。 併映には、バート・レイノルズ主演の「トランザム7000」という、 これもカーアクション。 強力カーアクション2本立である。 アメリカで大ヒットだけあって、高稼働。 やはり、カーアクションものは強い。
娯楽作が続いたが、 ここで、お口直しの意味で、 バイト時代に人気を博した「タクシードライバー」を あらためて、再度、上映することにする。
ただし、最映。 併映には、新作の「グロリア」をつけた。 ジョン・カサベテス監督で、その妻が主演し、 このように、覚悟をもって、上映することも、 興行者としての前を見据えて・・・。 さあ、ゴールデンウィーク映画は、 「コッペッション」。 興行は、さっぱり、閑古鳥が鳴くゴールデンウィーク真っ只中である。
そう、気落ちしては、幸運はやってこない。 悟りの境地である。と、言いたいが、 興行とは・・・何ぞやの入口に、いや、迷路に入ったような そんな、悟りいうか・・・
一喜一憂していては、興行は勤まらない。 覚悟のいる仕事である。
巻き返しを図らなければならない。 そのチャンスが、早々、来るとは予想だにしなかった。
「ガールズ」の主題歌も評判。女の子4人の思春期物語と、 エマニエル夫人のシルビア・クリステルが家庭教師役の「青い体験」的なノリで 組み合わせの妙か、興行大成功。 その勢いを買って、 ジェーン・フォンダ主演のOLもの、「9時から5時まで」は、 これも、スマッシュヒット。 のってきた、 ここから難問が始まる。 「クリスタル殺人事件」という、 配給会社が、どの劇場にも断れてきたのだろう。 やる以上、条件をつけた。
大スターを集めたカーアクションの大本命、「キャノンボール」と ブルック・シールズの「エンドレスラブ」のラブストーリーという、 絶対、はずれない! 半年後を見据えて、「クリスタル殺人事件」を承諾する。
9月になって、この口約束は 担当者が変わったという、卑怯な手口で、裏切られる。 まんまと、ワナにはまってしまった。
その口約束した人間に問題があるのだ。と、 自分をいさめる。 社会人になって、平気で裏切るという、世間の洗礼を受ける羽目になる。 話を戻そう。 「クリスタル殺人事件」は早々に打ち切る。
アメリカの有名マンガの実写化。 これくる? そう、ウケるわけがない。 アニメの実写化に興醒めに分類する。 しがらみ上、受ける。 結果、当然、ファミリーもこない。 一部のマニアだけがくる。 心なしか、お客様の鑑賞後の足取りが重いような・・・ なんか、つらい。 このように、映画会社とのお付き合いといえども、 ムダな映画を2作を上映していると、むなしくなる。 だが、 ここで落ち込んでいてはいかんいかん。 8月中旬には、コロムンビア配給の「スタークレイジー」と、 シリーズ最新作「グローイングアップ3」の2本立。 「大陸横断超特急」のコンビの最新作と、 フタを開ければ、日曜日に800人動員の大ヒット! ビックリ!入る入る。
私、大喜び! 場内は爆笑!爆笑!で、 さあ、その勢いで、
世間の物議をかもした「愛のコリーダ」以来の エロチック映画、「白日夢」であります。 主演の愛染恭子が実際、男優と”生入れ”という、 ”アダルト映画”と言われてもしょうがないが、 宣伝自体は、武智鉄二監督作品の文芸作品を謳っていたのが救い。 併映も、樋口可南子と緒形拳主演の、これも色ぽく「北斎漫画」の2本立。 これが、またしも。おったまげの大入り満員。
こんなの初めて。深夜も立ち見客で賑わうとは・・・ 映画自体は、肩透かしものだが、 話題作ならではの快進撃の興行だった。 まあ、キワモノで当てたような心境か。 こういう時ほど、後で、ツケは回ってくるのが関の山。
映画館のイメージは、払拭しなけばならないと、 とんでもない映画企画を打った。 それは、名作再映作品の2本立。 「ロミオとジュリエット」と「小さな恋のメロディ」という2本立を。 若者のバイブルな名作を揃えてみた。 勝ち目は薄いと案じたが、 「白日夢」という、ちょい手垢のついた映画館のイメージを 清廉なイメージを映画館の吹き込みたかったのだが・・・
無残にも打ち砕かれた。
失敗。自分が過去に見て良かったからといって、それを上映する。 それは趣味です。仕事ではありません。 興行の意味は、ちゃんと把握して、 とてもイタイ勉強になりました。 そこから胸に刻んだのは、“同じ轍を踏むな!”のことわざです。 まあ、そうたやすくないのが世に常。 私の興行人生は始まったばかりです。 早々に、打ち切り、「アラビアのロレンス」を凌ぐをうたい文句の 「砂漠のライオン」を上映したのだが、これも、やっつけでは、 サッパリ。
シルベスター・スタローンとサッカーの神様、ペレをかつぎだした サッカーを舞台の脱獄映画「勝利への脱出」と、 カーアクション映画「ターボクラッシュ」の2本立。 ここから、新味の宣伝に手を出す。 それは、テレビでのCMスポット。 本CMは、配給会社が、全国ネットでやってはいるのだが、 地方局を使う手は、全国ではどうかわからなかったが、 三重県では、初。 基本的に地方の映画館は、 映画のテレビスポットのインパクト性もあってか。 当時、地方局は、動かない絵の宣伝が多く、 珍しさも手伝い、数少なかったが、 この「勝利への脱出」では、効果は得られなかったが・・・ その戦略は、 「郵便配達は二度ベルを鳴らす」だ。 独自のコピーを大胆に打って出た。 映画会社の案にもないコピーで、エロチックをさらり強調のコピーで、 “官能のベルを鳴らした時 女は男を激しく求めた。” このコピーが、良かった定かではないが、自分なりには、 これが受けたと自負するが、 地方の中では、群を抜いて、著しい興行成績を上げた。 さあ、3月の声が聞こえてきました・・・。 春休み映画といきたいとこですが、 コロムビア映画の「パラダイスアーミー」という、コメディ映画。 勘でいって、これはダメな予感。 予定通り、コケ。 大コケ。 無情の風が、劇内に吹くが・・・ 耐えるのみ。 さあ、気を取り直し、次の作品にとりかかる。 フランスで爆発的ヒット、 主役の女の子が、一躍、大スターになった映画、 あの、あのソフィー・マルソーです。(懐かしい!) タイトルは、「ラ・ブーム」。 女の子が恋の階段を上がる、胸キュンもの(この言い回しも古い。)
コケてはいないが、あまり動員しない。 ただし、日本でのソフィーの認知度は挙がったのは間違いはない。 やや不満興行が続くと、ストレスがたまる。
1本は、角川映画がちょい下火の「化石の荒野」、もう1本は、 案の定、2館拡大では、来ない。 また悪循環は続く。 さて、次作は、「ロサンゼルス」。 レイプ事件を取りあっかった、父の復習劇。 きわもの扱いで、これも不入り。 この連作障害のような、悪い流れは とんでもない企画をうつしかない。 で、 私が、考えた、奇想天外な企画とは。 批評家にはうけている映画だが、 地方の映画館では避けそうな名作、 な、な、なんと、5本立。それも入替無し。 一作ごと、一日1回上映のフル5本上映。 腰を抜かしそうな企画を打つ。 冒険心。 その5作品とは、 ウッディ・アレンの「マンハッタン」、ハル・アシュビー監督の「チャンス」、
でも、映画館の役目は、やはり商売が先にたつが、 心意気も見せることも、 映画館の今後の役立つと、若造のくせに、思っていた。 |
Copyright © 2020 chuei.jp All Rights Reserved. |