撮影裏話ノート Urabanasi |
●撮影ウラ話ノート
『3秒ルール』
「すべてがとんとん拍子というのは、偶然ではなく”神様のプレゼント”と言ってもいいのではないでしょうか。」
こんばんは,俵孝太郎です!幸田シャーミンです!最近、前向きの滝川クリステルです!
そして、私が監督の俵万智です、サラダ記念日です!ではなく、渡辺です。
今日もエリマキトカゲを首に巻いてがんばっています。
いつものごとくの冗談はさて置き、
出だしの上記の私のコメントは、この”3秒ルール”の撮影時の実感です。
この撮影にあたって、ある程度の頭の中で絵コンテは出来てはいたのですが、
お寺という撮影場所が難題でした。
テーマからして、そうは、たやすく場所提供含めて、お坊さんの出演はどうか、
特にお寺の鐘を時間外に、つくとなると、
それだけで尻込みしています。
ただ、案じてばかりでは3回転3回転、トリプルルッツは飛べないとミキティしかり、
私の得意の ドーナツスピンもうまく回れまいのと一緒で、とりあえず、
私の1時間離れた実家の裏山のお寺に軽い気持ちで、
ロケハン兼ねて、カメラ片手に出かけたのです。
訪ねると住職は不在でした。
でも、境内には、あざやかで、まばゆいぐらいの紅葉が・・・。
そして、地面は色とりどりの落ち葉の絨毯・・・。
私が幼少の頃、皆様から”ご子息”と言われていた頃、
一日一食チキンラーメンの何不自由ない生活を送っていた頃、
遊びに明け暮れた、その境内で、かくれんぼ、缶けり、野球をいそしんでいた時、
紅葉が綺麗だな〜と感嘆した記憶がない!ふと、気付いたのです。
そうか、このような思い、すなわち、”情緒”は、
私には無縁だったのでしょうか。(母がまだ、若い頃、僕の手をひいて・・・♪)
(何を郷愁にふけとる場合やない!本題に戻ろう!)
そこで私、、ピンときました!この時期、逃したらだめだ!
「今日、撮るぞ!」と思っては見たものの、
誰が主役やるの?お寺OKもらえるの?すべて、クリア出来るの?
冷静になれば、そりゃ、当然無理でしょう!
まあ、とにかく当たって砕けろ!の精神で、
さっそく、近所の親戚のおじさんに、飛び込み出演交渉、
自宅療養じゃない、自宅で監禁生活じゃない、
悠々自適の年金生活を送る久し振りに会うおじさまに、(島根のおじさまでは決してない!)
いきなり出演交渉、度素人で今まで学芸会にも出たこともない(チェンバロの演奏会にも、もちろん出た事もない!)、おじさんは、
「何や、それ、オマエのやる事はコワいでな〜」とおっしゃる。(ご明察です。やはり、血が繋がってればわかる血の宿命。)
そこは、なんとかの口の達者さで、まんまと私の口車にのせられ、
いや、今、思うと、それを断って、自宅に放火でもされたら、たまったものじゃない!と
思ったか定かではありませんが、
とりあえず、OKしてくれました、。
そうです、私は役の設定も中身のコンセプトも一切お話しませんでした。
当然でしょう、私なら断りますから!(おじさん、許してネ。)
お寺の許可も、まだいただいていないのに、見切り発車、
出たトコ勝負の無計画さで、すぐ実行!
さっそく、買出し、10分かけて地元の製菓店に直行。
草餅を手に入れ、おじさんをお迎えに・・・、霊柩車ではなく・・・。
おじさんは、心配顔でいぶかしげな奥さんに見送られ、
「ここで、逃げられてはたまっものではない!」と誘拐まがいに急発進!
遂に、お寺に参上!仮面ライダー電王もびっくり!(白鳥百合子、どうしたんだよ〜、ずつと、小さいままだよ〜!)
勝手知ったるおじさんは、本堂に入って手馴れたようにお参り。私も一緒にお参り、
あの合格祈願の”お百度参り”以来である。
それが功をそうしたのか、別棟の住職はご帰宅でした。
おそるおそる住職に鐘の所で撮影を許可を願い出ると、な、なんと一発返事のOK。
ここで、図に乗った私は「出来れば、住職にも出ていただいて、
鐘をついて頂ければ幸いです。」と哀願すれば、またまたOK!
そこで、またまた奇跡が・・・
作衣姿の住職が「着替えてきます」とおっしゃる。
「いやいや、そのままの作衣でも十分です」と言えば、
そそくさとお二階にあがり、正装に。まだ、コンセプト、お話してないのに〜。
ええんかいな〜!後は知らんで〜!
撮影開始!さっそく、オチからの撮影!
最初は、住職の顔が映らいまま3テイク。
午後の一時過ぎに鐘3つ!マチャアキ星ミッツ!
真昼中に、お寺の鐘が3度鳴る!たぶん地元ではお騒ぎだったのではないでしょうか。
私が張本人です!地元のみなさん、私が犯人です!
鳴るはずのない鐘が鳴る鳴る、その上、鐘3回!ゴ〜ン、ゴ〜ン、ゴ〜ン!あの鐘を鳴らすのはあなた〜♪(和田アキ子)
住職に「いいんですか〜」と聞けば、即答「よくないです!」それは正解です。正解、正解、それはセイカイ〜♪(森昌子)
ここまで、書いて、ちょっと待てよ!こんな調子で、この話、ええんかいな〜と、こんな事書いて、
自問自答の私ですが・・・
いきます!この調子で書きます。
鐘を3回鳴らしたら、普通、そこはOKでしょう!でも、私は妥協しませんでした。
週刊文春・不肖宮嶋を越える、不精渡辺は
な、なんと、住職の顔をバッチリ出すため、別場所で後、ワンテイクと言いつつ、
またまた、鐘3っ!ゴ〜ン、ゴ〜ン、ゴ〜ン!
これは、許されることでしょうか?「絶対、許されません!」
にらみをきかす、おじさんの熱視線を背中に感じながらも、やっちまったよ〜!
地元の皆様方、平に平にご容赦下さい。
真昼の時間にお寺の鐘、合計6回鳴る!ゴ〜ン、ゴ〜ン、ゴ〜ン・・・
ちょっと、間があいて、ゴ〜ン、ゴ〜ン、ゴ〜ン・・・
これを人は、カルロス・ゴ〜ン6回!と呼ぶ!(呼ぶか!)
もう、後の撮影は、一気です。おじさんの目線が違おうが、おかまいなし。
十分、おじさんの味、然り、人柄の良さがでていますから・・・。これは当りです。
そして、このネタをいかすためには、ノリでいかないと成立しません。
ようやく、なんとはなしに、そろそろ、このストーリーに気付き始めた、おじさんが一言・・・。
「えらい、役やな〜!」
もう、手遅れです。撮り終えました。
撮影時間40分!前代未聞です!早ワザです。
でも、帰ってからのストップウオッチの撮影時間に、ゆうに
40分を超えたのは言うまでもありませんでした。
終わり。